op.1

ballet/orchestra/criticism

サイモン・ラトル指揮、ロンドン響の《悲劇的》を聴く(YouTube)

5月某日、サイモン・ラトルSimon Rattle)指揮、ロンドン交響楽団London Symphony Orchestra)による、マーラー交響曲第6番《悲劇的》を、YouTubeで聴いた。楽団が4月24日に公開したもので、1月19日、バービカン・センターでのコンサートの様子を収めている(この前半には、マーク・アントニー・ターネイジ作曲、Remembering – In Memoriam Evan Scofieldが世界初演された)。同じくロンドンを本拠地とするオーケストラ、フィルハーモニア管弦楽団が、首席指揮者、エサ=ペッカ・サロネンとともに来日し、同曲を演奏するのを前に聴いた。ラトルは現在、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の芸術監督・首席指揮者だが、この秋から、ロンドン響の音楽監督に就任することが決まっている(ベルリン・フィルは2018年夏に退任予定で、この間、二つのオーケストラの指揮者を兼任するという)。

ロンドン響は、とても上手い。また、硬質な音色も均質でむらがない。完成度の高い演奏であることが、間もなく分かる。ラトルの棒は、モダンに軽やかでスマート、ロンドン響特有の、やや太く粗く、音の物質性を強調するような音となじみ、両方のベクトルを重ね合わせて、たっぷりと歌う。細かい線の一本一本は、丁寧にみがかれ、きらめいている。軽やか、といっても決して軽すぎず、「悲劇的」なものに根を下ろしたマーラーだ。そこから上へ、眼差しは、肯定的に向けられている。それは例えば、三年前に聴いた、リッカルド・シャイー指揮、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の、「全く明るく洗練された」マーラーとは一線を画するもので(交響曲第7番、2014年、東京)、この作曲家を聴くわけを、確かに感じることができた。

なお、第2楽章にアンダンテ・モデラート、第3楽章にスケルツォの順で演奏された。