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フランツ・ウェルザー=メスト指揮、チューリヒ歌劇場《魔笛》を聴く(ディスク短評)

4月某日、ベルリン・コーミッシェ・オーパー来日公演《魔笛》を前に、映像で、同曲を聴いた。チューリヒ歌劇場(Zurich Opera House)における上演で、指揮は、フランツ・ウェルザー=メスト(Franz Welser-Möst)。彼は、1995年から2008年まで、この歌劇場の、首席指揮者、音楽総監督を務めた。2000年収録。

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ウェルザー=メストは、オーケストラを透明に鳴らし、早いテンポで、叙情を排した音楽づくり(ブーレーズとは別様に醒めている)。それなのに音楽的で、聴こえてくるモーツァルトの「歌」は、彼独自のものだった。完成度は高い。

歌手のレヴェルも総じて高く、中でも印象的だったのは、ザラストロを歌った、マッティ・サルミネン(Matti Salminen)。ザラストロの声は、低く、あらい。でも、彼が歌うと、しなやかさを感じさせた。サルミネンは、昨年、バイエルン国立歌劇場来日公演でも、同じ役を歌ったが、その芸術は、健在だった*1

三人の童子は、チューリヒ少年合唱団員が歌った。

演出は、ジョナサン・ミラー(Jonathan Miller)。第1幕、パパゲーノのアリアで、ウェルザー=メストが、パパゲーノの笛を吹いたり(!)、第2幕、同じくパパゲーノのアリアが、酔っ払い風に歌われるなどは、微笑ましかった。